2015年8月31日

「発熱」について正しく理解しましょう

発熱はこどもにとって最もありふれた症状の一つですが、意外と発熱について正しく理解されていません。今回、熱がでる理由および発熱への対処方法について、少し詳しくお話させていただきます。

◎ 発熱は、そのほとんどがウイルスや細菌などの病原体の感染に伴って起こります。熱を出すことによって、病原体が活発にふえていくのを抑え、自分自身の免疫力を高めるといわれています。ですから、むやみに熱を下げることは体にとってむしろ不利益といえます。


◎ 次に、熱が高くなってくる時、こどもの体では何が起こっているのでしょうか。

細菌やウイルスなどの病原体が体に入ってくると、体はそれに反応して体温が高くなるように脳内の体温調節がリセットされます。この「リセットされる」がポイントです。たとえば体温調節が39℃にリセットされるということは、「平熱が39℃になる」ことで、その時の体温が37℃であれば、その2℃の温度差で体は寒気を感じます。また、体温を上げるためには体の中から熱を作り出さないといけないので、ブルブルとふるえて、筋肉を小刻みに運動させて熱を産生します。また、熱が逃げていかないように、皮膚の血管を細くするので、手足が冷たく、色が悪くなることもあります。このように、産生された熱を逃がさないようにして、体温は上がっていきます。そして、いったん高い体温(リセットされた体温)に達すると、それ以上は体温を上げる必要がなくなるため、皮膚の血管を拡げて、皮膚から熱を逃がすようにします。この時、手足は温かく、色も良くなります。


◎ 熱の高いお子様に対して、ご家庭でしていただきたいことは次の2点です。

(1) うす着にする。
(2) 水分をこまめに与える。

寒気をうったえ、ガタガタと震え、手足が冷たい時は、今まさに熱が上がってきている時で、布団や毛布をかけてあげることも必要です。しかし、すでにリセットされた体温まで上がっている時(これは、冷たかった手足が暖かくなっていることで確認できます)、布団でくるんだり、厚着をすると、皮膚表面から熱が逃げていくのをじゃますることになり、結果的にもっと熱が高くなってしまいます。ぜひとも、風通しのよいうす着にしてあげてください。部屋の温度は他の家族が快適であれば結構です。夏のむし暑いときにはクーラーの使用も必要です。

また、熱が高いと皮膚表面から蒸発する水分量が増えるため、普段よりも多くの水分を必要とします。いろいろな飲み物を用意して、こまめに水分を与えるようにして下さい。また、水分の量が足りているかどうかを知るために、おしっこがちゃんと出ているかを確かめて下さい。高熱で水分がまったくとれない、あるいは、元気がなくなっている場合、脇の下や首周りを冷やしてください。この辺りは、太い血管が走っており、血管を冷やすことで、有効に熱を下げることが可能となります。それでも、熱が下がらず、元気がない場合は、解熱剤を使用してください。解熱剤を使用することで、熱が1.5℃前後下がるだけで、活気を回復して、食欲、水分摂取が増えることは重要なことと考えます。