どうしてウイルス性胃腸炎になると下痢をするの?
口から侵入したウイルスが小腸(上皮細胞)に感染して増殖します。その結果、小腸粘膜が破壊され、小腸の消化吸収面積が減少するため、水や電解質の分泌や吸収がうまくいかなくなり、下痢を起こします。また、同時に嘔吐を伴うことがあります。嘔吐の初期には顔面蒼白、発汗などの自律神経症状をともなうこともあります。
◎ 症状
数時間前まで食欲もあり元気で遊んでいた子が、突然嘔吐して、顔色が真っ白になることがあります。胃腸炎の初期は嘔吐で始まることが多く、吐きやすい状態は6時間くらい続き、その後、発熱(微熱~高熱まで様々)や下痢が始まります。ウイルス性腸炎では下痢便は酸味の強い発酵臭があります。特にロタウイルス腸炎では、便全体が黄白色から白色調となり、オムツにしみ込むと、甘酒かす様に見えます(軽症の場合は便は白くならず、普段より色が薄い程度です)。下痢症状は5日~7日くらい続きます。症状で重要なのは、脱水症状の有無です。嘔吐と下痢で体の水分量が減少して、おしっこの色が濃くなったり、量が減ってきます。さらに脱水が進行すると、顔色が悪くなったり、ぐったりしてきますので、医療機関への受診が必要となります。
◎ 治療
初期症状である嘔吐が頻回にみられる時は、少量の水分を与えても全部吐いてしまいます。最初の嘔吐から最低6時間は絶飲食として何も与えないで様子をみましょう。吐き気がおさまってくると顔色が改善して、少し元気がでてきます。この時点は、水分をほんの少量ずつ、様子をみながら与えてください。このとき与える水分としては、塩分が補充されている経口補水液(アクアライト(和光堂)、OS-1(大塚)など)があります。幼児なら最初は5~10ccから始めてください。10~15分ごとに少量づつ与えてください。冷蔵庫に入っている冷たいものはダメです。常温くらいのものにしてください。下痢の時は、脂肪分の多く含む食品(乳製品、脂肪の多い肉など)や、糖分を多く含む食品(ケーキ、プリンなど)や、冷たい食品(アイスクリーム、清涼飲料水など)は好ましくありません。母乳は腸の粘膜を修復する作用があるため、母乳栄養児では、下痢があっても母乳を続けてください。水分を与えても頻回に嘔吐を繰り返し、ぐったりしている場合は、点滴による水分補給が必要となります。