◎ 症状
潜伏期間2~5日。自覚症状としては発熱、咽頭痛(のどの痛み)、咳、鼻汁、腹痛、吐き気、嘔吐を認めます。診察所見としては、咽頭・軟口蓋(のどの奥)の著明な発赤、唇や舌の発赤(イチゴ舌)を認め、顔(口周囲を除く)・首から体・手足・そけい部(太ももとおなかの境)にかゆみをともなった赤く細かい発疹が拡がります。リンパ節腫脹を認めることもあります。
◎ 診断
咽頭炎の診断は、咽頭培養あるいは迅速診断キットによりA群溶連菌を証明します。既に抗生物質で治療が行われている時には、血液検査で溶連菌に対する抗体(ASO, ASK)が急性期と回復期との比較で上昇を認めるかどうかで診断できます。
◎ 治療
抗生物質による治療が中心となります。溶連菌は抗生物質を1~2日内服すれば消失しますが、急性糸球体腎炎、リウマチ熱などの合併症を予防するために、7~10日間抗生物質を内服します。
◎ 続発症・合併症への対策
・ 先行する溶連菌感染症に対する不完全な治療により、2~3週間後にリウマチ熱や急性糸球体腎炎を発症することがまれにあります。対策として、溶連菌感染診断後、約3週間後に検尿および再度診察を行います。
・ 家族内感染(特に兄弟)が比較的高率にみられます。咽頭培養あるいは迅速診断キットによる検査を行い、陽性の場合は治療を行います。
急性糸球体腎炎とは:
溶連菌の菌体成分または溶連菌が産生する抗原と患者が産生する抗体とが結合した免疫複合体が、糸球体に沈着することが原因で腎機能障害をきたします。3大症状とは、血尿、浮腫、高血圧です。慢性化することはまれで予後は良好です。
リウマチ熱とは:
いわゆる膠原病の一種で、心炎、多関節炎、発疹(輪状紅斑)、皮下結節、不随運動が主症状です。
◎ 保育園、幼稚園、学校はいつから行ってよいですか?
抗生物質内服後1~2日で発熱などの症状が消失すれば登園登校が可能です。学校保健法で溶連菌感染症は「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患」に分類されております。