◎ 原因
乳幼児のRSウイルス感染症として起こる場合が典型的です。パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルスなどのウイルスでも起こることがあります。
◎ 症状
最初の症状は鼻汁で、少し遅れて咳が始まります。咳は発作性で嘔吐を伴う場合が多くみられます。発熱は病初期に38℃代となりますが、長期に高熱が続くことはありません。その後、呼吸にともなって喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー音がする)が聴かれます。症状が進行すると呼吸が早くなったり、陥没呼吸(みぞおち辺りがペコペコへっこむ呼吸)がみられます。さらに進行すると、顔色が悪くなったり、哺乳力が低下し、入院治療が必要となります。生後1か月未満で感染した場合に、無呼吸(突然呼吸がとまる)が最初の症状になることがあり注意を要します。軽症では1週間位でよくなりますが、中等症~重症では2週間以上かかることがあります。
◎ 診断
年齢と症状から診断をつけることがほとんどです。2才以下の乳幼児に、RSウイルスが流行する季節(11月~3月)に上記のような症状がみられた場合は、急性細気管支炎の可能性が高いと思われます。しかし、これらの季節以外にも発症する場合があります。胸部X線検査では肺野の過膨張(膨らみ過ぎる)がみられます。原因がRSウイルスの場合に限り、綿棒で鼻腔粘液を採取して、RSウイルス抗原を検出する迅速診断法(約15分で診断)があります。RSウイルス以外のウイルスの場合には診断ができません。
◎ 治療
原因がRSウイルスであっても、その他のウイルスであっても特別な治療薬はありません。症状に対する治療が中心で、咳、鼻汁など上気道症状に対しては風邪薬を投与します。喘鳴など喘息症状に対しては気管支拡張剤や抗アレルギー剤(オノン、キプレス、シングレアなど)内服や吸入療法があります。呼吸困難を合併した重症児にはステロイド剤の吸入や内服を行いますが、有効性に関しては一定の見解が得られていません。呼吸困難が悪化して哺乳力が低下している場合は、入院して点滴や酸素投与が必要になります。さらに重症な場合は、人工呼吸器が必要になります。